徳川家康が愛した日本の原風景が味わえる町 千葉県東金を歩く

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東金の地名にまつわるエトセトラ

今回、ご紹介するのは千葉県の東金市。

私が行ってみたい場所といえば、当然、城跡があるのですね。しかも、「金」がつく地名なんて、行けばなんか、おカネのご利益がありそうで…。埋蔵金の伝説なぞ、あったりして。

…が、しかし。

東金の地名は、「金」には関係ないみたいです。

この場所は昔、鴇(とき)が舞い飛ぶ丘陵地だったそうな。街の西方に「鴇ヶ峰」と呼ばれる丘があり、そこに「鴇嶺城(ときがねじょう)」という城が築かれたとか。この「ときがね」が、後に「東金」になったと言われているのですな。

うぬぬ、「ときがね」から「とうがね」は文字にしてしまうとかけ離れていますが、話し言葉では「とー」と伸ばしたほうが言いやすいのかも。文字の意味よりも、話しやすさを優先させる昔の人の思考方法が興味深い。

当時は、文字による伝達より、伝言ゲームみたいな形で知識が広がって行ったのかなと思いました。伝言ゲームで村人の誰かが言い間違えた言葉を、現代の人たちは何の疑問もなく使っているのかもしれませんね。

どこにも、東の金なんて、意味はないですし…。

 

池に見える美しい湖・八鶴湖

それはともかく、ウォーキングのスタートは、JR東金線の東金駅。

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昭和を感じさせる駅前商店街をゆっくり10分ほど歩くと、まぶしい緑に囲まれた美しい池に着きました。

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ここが最初の目的地、八鶴湖(はっかくこ)。

池と言いましたが、名前的には「みずうみ」なのですな。でも、面積は3.4ヘクタールで、周囲は約800メートルほどだと言うから、どうみても「池」としか見えませぬ。

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それにしても、日本の原風景を見るような美しい景色。 池の三方を取り巻く丘は、東金の地名の由来にもなった「鴇ヶ峰(ときがみね)」ですか。確かに、今でも鴇が舞い飛んでいても納得できそう。

でも、この「池」は元からこの大きさではなかったそうですね。池のすぐそばに、千葉県立東金高等学校があるのですが、この場所は江戸時代初期には、東金御殿があったそうな。

東金御殿は、なんと徳川家康が鷹狩りの際宿泊した御殿とのこと。御殿建設の際、もとは小さな池だったものを多く広げられ、現在の「湖」の姿になったとか。

確かに、背景の丘を借景にした美しい佇まいは、かなり吟味して作られた日本庭園の趣がありますな。

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心に染み入る美しい鐘の音色のお寺

その八鶴湖の東岸にあるのが最福寺。

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これは一見して由緒ある寺院だと思ったら、なんと807年に伝教大師最澄によって創設されたらしい。

「湖」に面する高台に位置するローケーションは最高です。しかも、この元禄時代に建立されたという本堂は、一部、江戸浅草、浅草寺の古材を譲りうけて作られたそうなんですよ。

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本堂正面につるされた鰐口は、市指定の有形文化財。

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鰐口とは、仏堂の前の軒につるす仏具ですね。お参りするときは、その前につるされた縄を振り動かして打ち鳴らすのですな。どのお寺でもよく見かけるものですが、最福寺の鰐口は、銘に天文20年(1551)とあるらしい。

天文20年は戦国乱世の真っただ中。足利将軍の時代で、戦国ゲームに登場する英雄たちの時代からここにあったのですね。

ほかにも、広い境内には興味深いアイテムがたくさんありました。

たとえばこのお墓。

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歌舞伎「お富・与三郎」の切られ与三郎のモデルになったという4代目、芳村伊三郎のお墓なのだそうですね。この話のあらすじは知りませんでしたが、解説板を読むと、実際にもすごいストーリーだとわかります。

8代目団十郎が、このフィクションに目をつけ、善玉、悪玉を誇張しておもしろく書きあげたのも頷けました。西洋の「モンテクリスト伯」や「オペラ座の怪人」にも匹敵するのではないか、と…。

江戸の町民たちは、現代人が上記の芝居を見るような感覚で、ワクワクドキドキしながら観劇していたのかもしれないと思いました。

境内には、鐘撞堂も。

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鐘撞堂があるのはお寺として全然珍しくありませぬ。今はわかりませんが、私が行った日には「鐘の音の余韻まで心で受け止めてお撞きください」という表示があったのですよ。

えっ!? 撞いてもいいの?   実は私、20年以上前に、長崎で平和の鐘なるものを撞かせてもらってから、一度も撞いていないのです。

鐘を見れば撞きたくなるのだけれど、どこのお寺も、勝手に鐘を撞かないでくださいと張り紙があり…。

それじゃ、お言葉に甘えて…。

…と大きく振りかぶり、心をこめて撞き棒を鐘にガツゥゥゥゥゥゥ~ンと。

ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~ん

おおお~、心に染み入るような美しい鐘の音じゃ~。

鐘の余韻がいつまでも周囲に響き渡り、煩悩にまみれた私の心に涼風が吹き渡るのがわかりました。

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